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Real Estate Agent Award グランプリ インタビュー

omusubi不動産

殿塚 建吾

2011年松戸駅前の街づくりプロジェクト「MAD City」に参画し不動産事業の立ち上げをする。2014年に独立しお米をつくる不動産屋「omusubi不動産」を設立。DIY可能物件を扱いながら、市川市初のシェアアトリエ「123ビルヂング」や二世帯住宅をものづくりスペースに変えた「8lab」、浅草のクリエイティブスペースKAMINARI等を運営。 田んぼをきっかけに入居者との暮らしづくりに取り組んでいる。

審査員からのコメント

一般的に不動産会社と入居者はあまり接点がなく、あってもトラブルやクレームによるものがほとんどですが、殿塚さんは入居者と仲間になり、一緒に良い物件や良い街を目指して地域に貢献している姿が印象的でした。「街づくり」と聞くと大手企業による都市開発のイメージが強いですが、新たなスタイルを見せて頂き不動産業界の未来に新たな可能性を感じました。

ー 発表内容

日本では空き家の増加が社会問題となっている一方で、スクラップ&ビルドの住宅開発手法は今も変わらず新築は増加しています。そしてこのバランスを解消する空き家活用方法が求められています。

omusubi不動産では空き家の活用にフォーカスし、築年数の経過した古民家、団地、廃ビルなど一般的な不動産会社が力を入れて扱わないような物件を積極的に取扱い、借主自らが好きに改装をして良い、DIY賃貸という手法を用いて再生しました。空き家を活用したまちづくりを目的として事業を展開しており、空き家ならではの古さや自由度を楽しめるようなコミュニティや文化が必要だと考え、入居者と共に行える多くのイベントを開催。現在DIY賃貸物件には約100組が入居中で、入居者の多くは若いクリエイターであり、その個性やセンスを生かしながら新しい暮らしを模索しています。

REAAの初代グランプリとなったomusubi不動産の殿塚さん。

ー REAAに参加してみようと思った理由は?

株式会社キュピの斎藤さん(REAA準グランプリ)に誘ってもらい参加しました。エントリー締切りの前日にワーッと資料を作成し提出しました。(笑)

ー 日本一の反響はいかがですか?

おめでとうございます、と言ってもらいました。(笑) 産経新聞に掲載され、さらにそれが松戸市のツイッターに掲載されたようで、東京の不動産屋や業界専門紙の記者さんから連絡がありました。なんだかありがたいです。

ー REAAがどんなふうになると良いと思いますか?

規模がどんどん大きくなったら予選があると面白いかも!と思いました。また、審査員の方の点数がM-1グランプリみたいにその場で出ると面白そうですね。

(注:今回はオーディエンスによる投票もあり、集計を別途出しておりました。)

ー 現在、起業されていますが、今のビジネスに辿り着くまでどんな道でしたか?

独立する前まで似たスタイルの不動産会社に勤めていたので比較的やりやすかったです。地元である松戸に住んでいますが、正直松戸が好きなわけではないんです。なんもないしチェーン店ばっかりだし。でもまちづくりに携わらせてもらってからは段々考えも変わってきて、街は好きじゃなくてもそこにいる人は好きだなあと思うようになりました。ご縁もあるし、僕らが拠点を構えている八柱には元々毎月一緒にイベントをしていたスローコーヒーさんやオーガニックレストランCAMOOOさんがあり、好きなエリアだったので、ここを拠点にしたら面白そうだと思ってやってみることにしました。

起業して感じたのはやっぱり人のつながりの大切さです。特に最初の頃は全然発信力がありませんでしたが、SNSで発信したことに仲間が反応してくれて仕事につながったこともありました。

街づくりがどんなふうにされていったのか教えて頂きました。

ー DIY可能賃貸やコミュニティづくりで方々から注目されていますが、そのことについてはどう思いますか?

DIY賃貸は全国的に増えてきているスタイルで今後一般化していくと思います。その中で独自のコミュニティを築くことは大切だと思うのですが、一方でコミュニティはつくれないものだと思っていて。なので僕らはあくまできっかけづくりをたくさんしようと思っています。

DIYもお金がないからやっているところもあって、みんなで改装をやっているのですが、一つしかないものを自分たちで作り上げること自体を楽しんでいます。八柱にあるせんぱく工舎というシェアアトリエでは、入居者さんと話し合ってウッドデッキを後付けで制作することを決定したり。一緒につくりあげていく感じで進めています。

こうした動きはSNSで発信して拡散しています。起業して

3年目ぐらいになってパン屋さんやアンティークな本屋さんなど地域にお店が増えてきた感じがあります。いいお店があれば、いい人が集まって物件も使われていくんだなと感じています。

ー コミュニティづくりで大事なことはありますか?

シェアアトリエでは、基本ルールやSNSの運用ルールなどを作って、あとは自由にやって頂いています。いろんな人がいていいと思っているので、自分たちの想いが強すぎて枠にはめるより、いろんなことが起きて良いようにしたいです。

そしてDIY賃貸はクリエイター向け物件が多いので、どちらかと言うとクセの強い人が多いのも面白いです。画家の人と待ち合わせしたら桜の木に登って絵を描いて待っていたり、入居者さんと一緒に田んぼを耕して稲を育てているのですが、それがきっかけで結婚する方がいたり。「稲だけでなく恋も実らせやがって!そこの仲介手数料はいりません!」みたいな。(笑)想定外のことが色々起きます。

不動産屋は入居後にお客さんに会うことは少ないですよね。だけど積極的に会うことで「こうなったらいいな」という想いに気づいてあげることができるように思います。管理費も「何もしていないのにもらっている」と思われるのはいやなので、形にして返していけたらと思っています。

ー 困ったことはありますか?

困ったことだらけですよ!(笑)古い物件を扱うので思わぬ工事費がかかったり。DIYのサポートなどもしたいのですが、できていないことがまだまだたくさんです。

ー カフェも運営されていますよね?

曜日替わりの店長のカフェを仲間と運営しています。食べる人と作る人がつながるようなお店にしたいと思っていて、趣旨にあった方に使って頂いています。

ー 近隣の仲介会社との関わりは?

そんなに多くないですが、古い家を紹介してもらうことは結構あります。ボロいのはあそこに聞いておけばなんとかなるだろって感じで古い家専門みたいに。(笑)ありがたいです!

賃貸フェス運営委員会と殿塚さん。千葉県松戸のomusubi不動産のオフィス前にて。

ー この先やってみたいことを教えてください。

正直使命感とかはあんまりないですが、住んでいる人がつながって、暮らしをつくっていけるといいなと思っています。なので、いろんな人に来て欲しいと思います。今も、岡山や大阪などの県外から来る人がいて、東京に近い方が仕事もしやすいし、「ここで自分たちのやりたいことがやれる」と思ってくださるみたいで。

会社としては、自分たちのしていることで他のエリアでも力になれたらと思っています。入居者さんたちはいろんなスキルを持っている人が多いので、この人とこの人がコラボしたらこんなふうになるのかなーと想像したり。建物だけでなく人と人のつながりをつくる仲介をしていきたいです。

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